安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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女心のように
日差しが大分柔らかくなって、暖かさの勢いが変わってきた。
朝と夕は涼しくなり、天候は移ろい易い。
俗に言う、女心のような、空模様。

考えてみれば失礼な話だと思う。
女心のように、ころころ変わる秋の空。
女性にも空にも、失礼だ。
言わせて貰えば女性よりも男性の方が心変わりし易いし、そもそも女性が心変わりする理由の大半は男性にある。

つまり、何が言いたいかと言うと。

「・・・・最低」
「今更」
「・・・・・。・・・そうだね」

利用した男。
哀れな女性。
そんな人たちは、望んでいなくても、たくさん見てきた。
見せられてきた。
逆がなかったとは言わない。マフィアで生きる女性は皆それぞれに強かで、計算高い。
それでも絶対数において、犠牲者は圧倒的に女性だった。

何処かへ売られていく女性たちを視たことがある。
正確には、彼女たちがいた部屋を。
どういう手段を使ったのか、そのうちの一人は敵組織のスパイだった。
けれどスパイはたった一人だけ。
他の女性たちは、被害者で。
涙の後が痛々しくて、どうにかできないのかと胸が締め付けられて。

けれどそんなぼくを見て、男は笑った。

「買われたモノが売られるモノを哀れむか?滑稽なことだ」

ぼくは無力なのだと、そのたった一言で思い知らされる。

「余計なことはするな。行くぞ」

女心のように、とまでは言わないけれど。

この男の心は、何かで変わることはあるのだろうかと、たまに、疑問に思う。










//16歳
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永遠に思える時間
永遠に思える時間、そこに立ち尽くしていた。
今目の前で起こったことを、脳が理解できない。
受け付けない。
信じられない。

世界が崩れ去ったようだった。
天地が逆さになったようだった。
自分が本当に立っているのかもわからなくて、ただ呆然と、空回りする思考を巡らせていた。

色鮮やかだったはずの世界が急激に色褪せて、真白く静かに狂っていく。



どうしてこんなことに。



何度目かに、思う。
涙が、一筋頬を伝った。



このまま正気を失えたら、それはある意味とても幸せ。









//22歳?(21歳以降)

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少しは心配してくれた?
兄さんのお墓がわかってから、ぼくはたまにそこに足を向けるようになった。
特に用があるわけではない。
静かな墓地の一角で、お花だけ変えて、佇んでいるだけ。

けれどそれが、何故か、妙に落ち着く。

「ねぇ兄さん」

あなたは優しい人だったと、あなたの友達が言っていた。
ねぇ、兄さん。

「もしあなたが生きていたら、生きていて、妹(ぼく)が居る事を知ってたら」

聞こえはしないことはわかってる。
此処にあるのは兄さんの骨。
兄さんの、お墓。
当然、答えもない。
けれど、ぼくはよく此処で誰も居ないお墓に話しかける。

「少しは心配してくれた?」

聞く人も、答える人も、居ないけど。
何故かぼくは、とても、安心する。

何故か。

誰かが聞いてくれたように、穏やかな、気分になる。










//21歳
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君に託したもの
「まずはこの島国を手に入れる」

楽しそうな、笑み。
これはいけないと、すぐにわかる。
これは、いけない。
――――ロクでもないことを考えているときの、笑み。

この男は、本気だ。

「丁度いい時期に総理大臣も変わってくれた。やつが次に何処に行くかは花梨を使って調べろ。常に先回りして、まずは恐怖を植えつける」

本気で、裏からこの国を、思い通りに操ろうとしている。
そしてぼくは、その工程に使われる。
道具と、して。

「いいな、花梨」

束の間、ほんの瞬きする間に、色々なことを想う。
ぼくが今まで犠牲にしてしまったもの。
生きるために、自由を得るために、そう言い聞かせて犯してきた罪。
それを考えれば、答えは決まっている。
同じように、視たものを、言えばいい。
唯々諾々と、従えば、いい。

――――けれど、ぼくは決めた。

この国はぼくが生まれた国。
そして、大切な、とても好きな、「友達」が、居る国。

ぼくは、漸く、決めた。

「・・・・・はい」

口の端に笑みを掃く。
それは誰も気付かないほど、小さな笑み。

本当はぼくの子供に託したかったことを、君に託していいですか。
君は優しいから、聞いたらいいと言ってくれるかも知れないけど。
言うことは多分できない。

これからぼくがやろうとしていることは、道具の信用を壊すこと。
信用できない、使えない道具など。
要りはしないのだから。

欠陥がわかるまでは、使われるだろう。
けれど欠陥がバレれば、ぼくは、破棄される。

もう子供は生めそうにないから、勝手に君に託そう。







どうか、幸せに。

あなたの望む通りに生きて、わたしの分まで幸せに、なって下さい。










//22歳?

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人を活かす
「「人を活かす気はないのか」、だと?」

聞いてみたら、その男は鼻で笑った。
しかもよほど可笑しかったらしく、くっくっと低い笑い声まで続く。
馬鹿じゃないのかと、その目が、その顔が、その声が語っていた。

男は言う。

「生きるために必要なのは人を活かす才能なんかじゃない」

むしろ邪魔だと、言い切った。

「この世界で要るのは、人を道具として使い捨てる才能だ」

ああ、そうだった。
めまいがする。
ぼくは馬鹿か?

この男はこういう男だと、嫌と言うほど知っていたはずなのに。

そして実際。
この男の言うことは、多分、正しいのだろう。

現にこの男はそれを実行し続け、今順調に「ボス」への道を辿っているのだから。









//17歳

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