安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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垣根を取り払って
ぼくはマフィアが嫌いだ。
そしてマフィアの構成員たちも、ぼくを嫌っている。
否。少し違う。彼らはぼくを嫌っているのではなくて。

「フドウ、カリン」
「・・・・・あれが」
「ふん」

ぼくを、見下している。

ぼくは道具だ。
ぼくは便利だ。
ぼくは金づるだ。
ぼくは、彼らにとって、彼らと同じ人間では、ない。
だから実は、嫌うことすら、ない。

それを知りながら、目の前の男は無意味に爽やかに笑う。
当然のように、白々しい言葉を、吐く。

「こいつは買われた身、こっちは買った側―――その辺りの垣根は取っ払って、今日は無礼講で行こう」

親しげにぼくの肩を抱き、決して笑っていない目で、楽しげに、嗤った。

「『邪魔者』が排除できたのはこいつのおかげだ。さぁ飲め、兄弟たち」

あの日。
契約を交わしたぼくとこの人は、一種の共犯者なんだろう。
それでもぼくはこの人を始めとするマフィアが嫌いだし、この人はぼくをぼくとして扱いはしない。
契約は成った。
ぼくはぼくの代金として支払われた額の仕事をし終え、この人は。

「今日から俺が「父親」だ。―――――文句があるやつは今日のうちに、な」

野望を、叶えた。

「垣根を取り払った」、「無礼講」。さっきこの人はそう言ったけれど、実際は。
ファミリー全体に下克上を知らしめる、垣根を高く厚くするための、儀式。

そして目の前の男――――「ボス」は、ぼくに囁くのだ。




「片っ端から未来を覗け。問いはシンプルだ。“裏切るのは、誰だ?”」




ぼくは。
マフィアが嫌いで暴力が嫌いで黒服も嫌いだけれど、誰よりも何よりも。


この人が、嫌いだ。









//18歳
コメント(0)トラックバック(0)16〜20歳
 


主導権を握る
「お前が不動花梨か」

両腕を掴まれてモノのように運ばれて、最初に聞いた言葉。
ここまでぼくを連れてきた表情のない黒服たちと違って、シニカルに笑う日本人。
飛行機に乗ったのは知っていた。
ぼくが「買われた」のはマフィアだ。
その拠点が日本ではないことも、少し考えれば分かる。
イタリアか、アメリカか。それとも?
よくわからないかったけど、それはあまり重要ではなかった。

「・・・・・ガキの相手をすんのか。面倒だな」

日本人。
明らかに毛色の違うこの人は、幹部なのか、それとも違うのか。
重要なのは、それ。

「・・・・あなたは、誰」
「・・・・・・・・・。口の利き方に気をつけろ、ガキ。俺より偉いとでも思ってんのか?」

その台詞で、とりあえず、確信する。
この人は、それなりに、偉い。

この先。
ぼくがぼくの人生を歩むためには、ここで。
この男と対峙して、主導権を握らなければならない。
一時でもいい。
一瞬でも、構わない。
ぼくの要求を、ぼくの処遇を、認めてもらわなければ、ぼくに未来(さき)はない。

「お兄さん」
「お前の役目は俺の言った未来を見て俺に伝えること。他はない。言うことも以上だ。連れてけ」
「・・・・・お兄さん、ぼくを信用できるの?」
「・・・・あ?」

賭けに似た、綱渡りの、攻勢。
さぁ――――背筋を伸ばせ。目を、逸らすな。

「予知なんて、信用できなければ使えない。使えない予知は、お兄さんたちには要らない。ねぇ、どうやって、ぼくを使う?」

主導権を。

その手に、握れ。





//10歳
コメント(0)トラックバック(0)10〜15歳
 


風鈴の音を耳にして
ちりん―――・・・。

涼しげな音に、足を止める。
売り物の風鈴が、風に煽られて幾つも幾つも音を立てた。
音は重なり、響きあい、風に流れて鬩ぎあう。
幻想的な気分になって、暫くじっとその場に足を止めていた。

「・・・お嬢さん、買って行くかね?」

お店の主人らしき初老の男性がそう声を発して、ふと我に帰る。
いきなり足を止めて風鈴を見上げていたぼくは、さぞ奇怪に映ったことだろう。
首を、振る。

「・・・・・いいえ。済みません」

風に揺れる、透明なガラス。

脆いゆえに、美しい音色を奏でる、丸い。

「―――――いえ。済みません、やっぱり下さい」

何を考えたのか、気がついたら、そう応えていた。
言ってしまってから自分を不思議に思う。が、もう否定はしなかった。


それ以来。
薄く脆いガラス製の風鈴は窓の傍に吊るされることになり、あまり帰らないぼくの部屋で、ちりんと、たまに小さく鳴いている。






//20歳
コメント(0)トラックバック(0)16〜20歳
 


最初に
無謀な挑戦です。

『絶対運命』様 http://www.geocities.jp/miayano/odai.html

の、『1年365日のお題』。
レベル4に挑戦してみます。
さて何日続くやら。


同一主人公で、以下主人公設定。
視点は恐らくコロコロ変わる。


名前:不動花梨(ふどう・かりん)
性別:女
一人称:ぼく
備考:予知能力者


以上。
その他は書いてくうちに色々出てくると思います。
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