安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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風鈴の音を耳にして
ちりん―――・・・。

涼しげな音に、足を止める。
売り物の風鈴が、風に煽られて幾つも幾つも音を立てた。
音は重なり、響きあい、風に流れて鬩ぎあう。
幻想的な気分になって、暫くじっとその場に足を止めていた。

「・・・お嬢さん、買って行くかね?」

お店の主人らしき初老の男性がそう声を発して、ふと我に帰る。
いきなり足を止めて風鈴を見上げていたぼくは、さぞ奇怪に映ったことだろう。
首を、振る。

「・・・・・いいえ。済みません」

風に揺れる、透明なガラス。

脆いゆえに、美しい音色を奏でる、丸い。

「―――――いえ。済みません、やっぱり下さい」

何を考えたのか、気がついたら、そう応えていた。
言ってしまってから自分を不思議に思う。が、もう否定はしなかった。


それ以来。
薄く脆いガラス製の風鈴は窓の傍に吊るされることになり、あまり帰らないぼくの部屋で、ちりんと、たまに小さく鳴いている。






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