チョコレート乱舞! |
2008年2月14日 23時41分
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右を見ても、左を見ても、前を見ても、後ろを見ても。
「バレンタイン」と「チョコレート」が、目に入った。
流石本番。
と、そんなことを思う。
薔薇を抱えて歩く男の人とすれ違う。
有名チョコレートブランドの紙袋を持った女性のグループが、楽しげに通りすぎた。
男女のカップルが身を寄せ合って歩くのも、多く見える。
こんなに凄かったっけ、と、それが感想だった。
ぼくの記憶の「バレンタイン」は、母さんが父さんに手作りチョコレートを渡す日で。
仲睦ましい両親は、ぼくが居ることを半ば無視してラブラブだった。
だから、かもしれないけど。
バレンタイン近くに繁華街に出た記憶もあまりなくて、こんなにチョコレート商戦が凄いような記憶もなかった。
人並みに甘いものは好きだから、嫌ではない、けど。
甘い、匂いが辺りに充満していて。
くらりと、眩暈がした。
コンクリートの無機質な部屋。
ぼくを囲む白衣の人。
注射針。
響く時計の音。
緩く立ち上る煙。
甘ったるい、香り。
記憶が途切れる、「実験」。
軽く首を振る。
これはチョコレートの香りだ。
それとは関係ない。
「バレンタイン」が溢れる繁華街で、ぼくは一人、喧騒の少ないほうへと歩き出す。
//20歳
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