それが親心 |
2007年11月22日 21時48分
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子供の幸せを願わない親は居ない。
そんな言葉を見るたびに、思うことがある。
――――――――本当に?
「それが親心というものです」
「そうですよね」
確か話していたのはテレビの中の、有名なコメンテーター。
相槌を打っていたのは、アナウンサーだっただろうか。
よく覚えていないが、とにかく、そんな会話を耳にして。
“親心”。
ぼくは「それ」がよくわからない。
ぼくは「それ」を、知らない。
あの人たちの中にも、そんな心はあったのだろうか。
いつも笑っていた母。
優しい父。
けれどぼくも兄さんも、簡単にお金に変えた人たち。
幻聴が、聞こえる。
歌うような声で。
優しい穏やかな声で。
覚えている、好きだった声で。
「お母さんはね、花梨が大好きよ」
「もちろん、父さんもそうだ」
「だって、あなたは高く売れるんだもの――――――・・・」
首を振る。
違う。あの人たちは、そんなに酷い人たちではなかった。
ただ、普通ではなかっただけで。
ただ、普通とは違っただけで。
ただ。
それが「酷い」と、理解できなかっただけで。
計算尽くではない。
本当に純粋に、ただ、ぼくを売ればお金が手に入ると気付いてしまっただけ。
「大好きよ、花梨」
それは偽りのない本心。
「さようなら、花梨」
これも偽りのない言葉。
「「元気でね」」
これすらも。
紛れもない、真剣なエール。
二人はぼくの幸せを願っていた。
でもぼくを幸せにしてくれる気はなかった。
二人はぼくを好きだった。
でもそれよりも、お金の方が好きだった。
ねぇ。
おやごころ、って、なんですか?
//14歳
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