人は悩んで大きくなるの |
2007年11月10日 23時56分
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遠い昔、言われたことがある。
確かあれは、小学校の先生だった。
「悩み事?」
友達の少ないぼくを、何かと気遣ってくれた若い先生。
義務だったのか同情だったのか、それはよくわからないけど。
ぼくはその先生が好きだった。
・・・・あの頃ぼくに、嫌いな人なんていなかったけど。
それはぼくが売られる未来を視た頃。
授業の時間も休み時間も、そのこと以外考えられなかった頃。
頷くぼくに、先生は「そっか」と頷いて、隣に座って。
微笑んで、言ったのだ。
「悩むのは悪いことじゃないわ。人は悩んで大きくなるの」
答えが出ない悩みでも。
それは有意義なのだろうか。
悩めば悩むだけ、神経は磨り減り心は傷つくことでも。
悩んでも、悩んでも。
誰かを傷つける答えしか、見つからない悩みでも。
それは、いいこと?
取捨択一。
ぼくは選んだ。
「――――その、人が」
近い未来入ってはいけない場所に入る、二人の人。
一人の未来(さき)には待っている人が居て。
一人の未来(さき)には、家族はもう誰も居なかった。
誰もいないとは。
ぼくには、告げられない。
だから。
悩んで悩んで悩んで、そして。
ぼく、は。
決める。
「あの部屋に入ろうとする、人」
なんて、傲慢なんだろう。
ぼくにどんな権利があるというのか。
死ぬのが恐い、自由になりたいと、それだけで。
誰かを犠牲にするのを選ぶとは。
――――――御免なさい。
御免なさい、ごめんなさい。
ごめんなさい。
ねぇ、先生。
これでもあなたは、悩むのはいいことだと、言えますか。
//14歳
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