隠し事はしないで |
2007年11月2日 00時49分
|
拷問は面倒だから嫌いだ。
こんな要らないモノとっとと殺したいと、いつも思う。
暴力にも、未来を読まれる気持ち悪さにも屈しなかった男が、俺の前に座っている。
聞きたいことがある。
こいつが、隠していること。
花梨に少し先まで未来を視させても、わからないと首を振った。
これを聞き出せれば、また俺の地位は上がる。
逆に聞き出せなければ、折角築いた地位にも傷が付く。
面倒だが、聞き出さずに殺すことは論外だった。
「ある事」を調べさせていた部下が戻ってきて、成果を俺に耳打ちする。
満足できる成果に口の端を吊り上げて、花梨を持ってって確実に「それ」を連れて来いと更に指示する。
男はそれを見て、軽く訝しげな表情をした。
・・・とは言っても、散々痛みつけたため、青痣等で表情は見辛かったが。
「・・・もう一度聞くが」
口を開き、ついでに腹部に蹴りを入れる。
これ以上顔を傷つけて、口が利けなくなるのはお断りだった。
「話す気はないか?」
男はごほごほと咳き込んで、それからやはり無言を通す。
ああ面倒なと、舌打ちを零した。
花梨を連れて出ていったはずの部下が、指示を成功させ戻ってくる。
扉を潜ったのは、部下だけではなく。
目隠しと猿轡をされた、女と餓鬼。
その二人に男が目を見張り、身動きして両隣の部下に押さえつけられた。
さて、少しは効果があるらしい。
「それ」は、この男の妻と息子だった。
俺が片手を挙げれば、すぐに部下二人の銃口が女と餓鬼の頭に固定される。
押さえつけられた男が、「止めろ」と叫んだ。
俺も銃を取り出して、男の額に付ける。
「隠し事はしないで、素直に吐け。そうすれば――――」
かちりと、シリンダーが回った音がした。
「とりあえず、楽に死なせてやる」
お前も、女も餓鬼もな。
//樹閃月
|
コメント(0)|トラックバック(0)|その他|
|
|