安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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隠し事はしないで
拷問は面倒だから嫌いだ。
こんな要らないモノとっとと殺したいと、いつも思う。

暴力にも、未来を読まれる気持ち悪さにも屈しなかった男が、俺の前に座っている。
聞きたいことがある。
こいつが、隠していること。
花梨に少し先まで未来を視させても、わからないと首を振った。
これを聞き出せれば、また俺の地位は上がる。
逆に聞き出せなければ、折角築いた地位にも傷が付く。

面倒だが、聞き出さずに殺すことは論外だった。

「ある事」を調べさせていた部下が戻ってきて、成果を俺に耳打ちする。
満足できる成果に口の端を吊り上げて、花梨を持ってって確実に「それ」を連れて来いと更に指示する。
男はそれを見て、軽く訝しげな表情をした。
・・・とは言っても、散々痛みつけたため、青痣等で表情は見辛かったが。

「・・・もう一度聞くが」

口を開き、ついでに腹部に蹴りを入れる。
これ以上顔を傷つけて、口が利けなくなるのはお断りだった。

「話す気はないか?」

男はごほごほと咳き込んで、それからやはり無言を通す。
ああ面倒なと、舌打ちを零した。

花梨を連れて出ていったはずの部下が、指示を成功させ戻ってくる。
扉を潜ったのは、部下だけではなく。
目隠しと猿轡をされた、女と餓鬼。

その二人に男が目を見張り、身動きして両隣の部下に押さえつけられた。

さて、少しは効果があるらしい。
「それ」は、この男の妻と息子だった。

俺が片手を挙げれば、すぐに部下二人の銃口が女と餓鬼の頭に固定される。

押さえつけられた男が、「止めろ」と叫んだ。

俺も銃を取り出して、男の額に付ける。



「隠し事はしないで、素直に吐け。そうすれば――――」



かちりと、シリンダーが回った音がした。









「とりあえず、楽に死なせてやる」









お前も、女も餓鬼もな。









//樹閃月
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