可愛い我侭 |
2007年11月1日 17時11分
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可愛い我侭を叶えるために。
ぼくは魔法使いになろうと思った。
まず欲しいのは、可愛いくまのぬいぐるみ。
お店を選んで立ち寄って、一つ手に入れる。
次に求められるのは、綺麗な花。
花束か鉢植えか迷って、鈴蘭に似た小さな鉢植えを購入した。
それから要るのは、きらきらのアクセサリー。
これは小さな宝石が光る、ネックレスにしてみた。
そして、最後は。
食べきれないくらいの、御馳走。
視ていた光景を切って、少し悩んだ。
これは難しい。
少しずつ慣れては来たけど、ぼくは料理があまり上手くなくて。
沢山の御馳走なんて、用意するのは難しい。
そもそも、前もって用意できるものじゃない。
湯気が立っているから、出来立てだから、料理は美味しい。
「我侭」を聞ける時間は、明日の17時20分過ぎ。
それまでに料理を作ってくれるように、お願いしておくしかない。
間に合わなかったら魔法使いにはなれず仕舞いだけど、そこは賭けだ。
とりあえず用意できるものだけ用意して、家に帰った。
何処に置いておこうかと、少し迷う。
結局彼女では手の届かない、上の方に一つずつ隠した。
そして視た通り翌日の5時過ぎに、ぼくは聞く。
「何が欲しい?」
彼女はぼくが視たときと、同じ答えを返した。
「あのね、あのね。くまさんがほしいの!」
笑って頷いて、くまのぬいぐるみを取ってきて手渡す。
「あとね、おはな!」
少しずつ歩いていたから、花の隠してある場所はすぐだった。
やっぱり手渡すと、彼女はぱちくりと目を瞬く。
「あとは?何かある?」
「えっとね、えっと・・・きらきらもほしい!」
これは小さいからポケットに入ったので、取り出して首に掛けた。
にこりと、笑う。
彼女はぱあっと嬉しそうに笑って、宝石よりもきらきらした目をぼくに向けた。
「すごい!どうして?」
ないしょ、と、悪戯っぽく笑う。
他にはある?と、また聞いて。
そして答えと同時に、襖を開けた。
「ごちそう、たくさん!」
そこには頼んだ料理がちゃんと並んでいて、内心ほっとする。
あとでちゃんとお礼を言わなくてはと、思った。
そして御馳走の並んだ部屋を見て、彼女はまた嬉しそうに歓声を上げて。
「すごいすごい!ありがとう、おかあさん!」
そう、言った。
どうやらぼくは、無事魔法使いになれたらしい。
きみが幸せなら、ぼくは幸せなんだよと、抱き締めて言った。
生まれてきてくれて、ありがとう。
//27歳?(無事結婚できて子供出来たら)
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