安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

  新着アーカイブ  
ゾロ目[2
 (2010/11/11 12:51)
マスコット
 (2008/5/1 19:04)
多けりゃ良いってものじゃない
 (2008/4/30 18:51)
一生懸命
 (2008/4/25 18:53)
世界を見下ろす丘
 (2008/4/23 18:54)

  新着コメント  
新着コメントはありません

  ブログ内検索  

  カテゴリー  
最初に/設定(1)
21歳以降(70)
16〜20歳(35)
10〜15歳(29)
0〜9歳(6)
その他(18)


  月別アーカイブ  
2010年11月(1)
2008年05月(1)
2008年04月(12)
2008年02月(16)
2008年01月(5)
2007年12月(25)
2007年11月(25)
2007年10月(31)
2007年09月(30)
2007年08月(13)

偽りの私
――――意識を、切り替えろ。

素っ気無い機械音。
耳障りな甲高い、一定の。
思わずびくりと身体が揺れた。

「不動さん?」

初期設定のまま変えていない着信音。
持たされている携帯は、通話中ぼくの居場所を「本部」のモニターに表示させる。
此処で、出るわけにはいかない。
出来る限り、可能な限り、此処から。
離れなければ。

「・・・、・・ごめん、帰らないと。・・・勝手に来て勝手に帰るなんて失礼だよね・・・本当、御免」

ああ、いけない。
切れてしまえば、それもまた危険だ。
「電話には必ず出る」――――それが自由である、条件の一つ。
手短に謝罪と退出の言葉を告げて、足早にそこを出る。
段々と余裕がなくなって、仕舞いには駆け足になって一歩でも多くあの場所から離れた。

巻き込むわけには、いかない。

絶対に。

巻き込みたく、ない。


「―――――――・・・・・はい」


さぁ、切り替えろ。
感情は要らない。
余計な情報は渡せない。

これは偽りの私(ぼく)。
けれどこんなもので巻き込まなくて済むのなら、幾らでも。


「・・・・・はい。今すぐに」


幾らでも、偽ってみせる。









//21歳
コメント(0)トラックバック(0)21歳以降