この気持ち、隠し切れない |
2007年10月19日 23時27分
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隠すことが難しい感情が三つある。
一つは嘲り。
この世は誰も彼も何て愚かしく、笑ってはいけない場面でもつい嘲笑が浮かぶ。
一つは愉悦。
要らないモノを壊すのはとても心地よく、血も悲鳴も愉快で仕方がない。それを隠すのは、とても難しい。
そして、もう一つは。
「よお花梨。まだ予知能力は顕在か?」
「・・・・・・・お蔭様で」
「まだ役に立ってるのか?ツマラナイな。実にツマラナイ」
心の奥底から湧き上がる、暗く昏い、欲望。
ガキの頃から細い首に手を伸ばす。
指で喉に触れて、輪郭に沿うようにつうと撫でて。
「・・・・触らないでくれる?」
「早く・・・早く、壊れればいいのに。ああお前、そろそろ予知が出来なくなればいい」
「その手を、退けて」
「ツレナイなぁ。同じ道具同士、ナカヨクしようとしてるのに」
ああ。
ああ、ああ、ああ。
嗚呼。
つい無意識に、舌なめずり。
顔に浮かぶのは、淫靡な笑み。
昏い欲望。
隠し切れない、衝動。
ああ、ツマラナイ。
あとほんの少し、数ミリ、ちょっとだけ。
――――力を篭めれば、殺せるのに。
「お前の血が見たいなァ・・・・断末魔が聞きたいなァ・・・なぁ、マダマダ顕在か?」
俺は初めてお前と向かい合ったその瞬間から、お前が殺したくて仕方がない。
一分一秒でも早く、お払い箱になればイイのに。
そうしたら。
完膚なきまでに完全無欠に、骨の髄まで苦しめて、心行くまで殺してやるのに。
「・・・・残念ながら、そんな予定はないよ」
この気持ち、隠し切れない。
そしてまた。
「それはそれは、ホントに、残念だ」
隠すつもりも隠す意味も、何処にもない。
//18歳
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