安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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この気持ち、隠し切れない
隠すことが難しい感情が三つある。

一つは嘲り。
この世は誰も彼も何て愚かしく、笑ってはいけない場面でもつい嘲笑が浮かぶ。
一つは愉悦。
要らないモノを壊すのはとても心地よく、血も悲鳴も愉快で仕方がない。それを隠すのは、とても難しい。

そして、もう一つは。

「よお花梨。まだ予知能力は顕在か?」
「・・・・・・・お蔭様で」
「まだ役に立ってるのか?ツマラナイな。実にツマラナイ」

心の奥底から湧き上がる、暗く昏い、欲望。

ガキの頃から細い首に手を伸ばす。
指で喉に触れて、輪郭に沿うようにつうと撫でて。

「・・・・触らないでくれる?」
「早く・・・早く、壊れればいいのに。ああお前、そろそろ予知が出来なくなればいい」
「その手を、退けて」
「ツレナイなぁ。同じ道具同士、ナカヨクしようとしてるのに」

ああ。

ああ、ああ、ああ。

嗚呼。

つい無意識に、舌なめずり。
顔に浮かぶのは、淫靡な笑み。
昏い欲望。
隠し切れない、衝動。
ああ、ツマラナイ。
あとほんの少し、数ミリ、ちょっとだけ。



――――力を篭めれば、殺せるのに。



「お前の血が見たいなァ・・・・断末魔が聞きたいなァ・・・なぁ、マダマダ顕在か?」



俺は初めてお前と向かい合ったその瞬間から、お前が殺したくて仕方がない。

一分一秒でも早く、お払い箱になればイイのに。

そうしたら。

完膚なきまでに完全無欠に、骨の髄まで苦しめて、心行くまで殺してやるのに。

「・・・・残念ながら、そんな予定はないよ」

この気持ち、隠し切れない。
そしてまた。

「それはそれは、ホントに、残念だ」

隠すつもりも隠す意味も、何処にもない。









//18歳
ディス。
狂い気味な殺し屋さん。
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