トラブル |
2007年10月3日 02時52分
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俺は秩序とかルールとかいう面倒なものが嫌で、不良からヤクザになった。
ヤクザはヤクザで色々と掟があって、結局は日本人かと嫌気がさし、次はマフィアに。
流石にマフィアはやることがデカイと思ったが、結局ルールはルールとして存在していた。
集団とはそんなものらしい。
まぁいい。
裏の世界に居れば、少なくとも秩序は壊せる。
そして今回俺が命じられたのは、この会社で「トラブル」を起こすこと。
まぁ要は、ビジネステロだ。
手広くやってるよな、ウチの組・・・っと、組じゃねぇんだ。まぁいいや。
そしてそのために、俺に貸し与えられたモノがある。
失敗は許されないと、ボスに近いと噂される日本人の「兄貴」から言われた。
つまりは結構大事なミッションってこと。
で、だからコレを貸してくれた。
難しいことはよくわからないが、ビジネスビルなんて秩序の塊みたいなとこ、壊せるのは結構楽しみ。
・・・・でもどうやって使えばいいのコレ。
未来を読むってホントかよおい。
隣に居るのは小さな子供。
俺がちらりと目を向けると、どこかを見上げていた子供は不意に口を開いた。
「・・・・10秒後、あの角をターゲットが通過」
ホントかよ。
信じられるわけがない。
未来だって未来。どこのマンガだよ。
兄貴ー。コレを使えって本気?
とかって考えて、10秒はすぐで。
「・・・・・・・・うわマジ来た」
酷い冗談だ。
俺はあのターゲットにぶつかって鞄を落とさせ、同じ種類の鞄とすり替える。
その鞄の中には、トラブルの種。
本物の機密と若干だけ違う、契約書。
「1秒後、同僚と挨拶を交わす」
俺は歩き出す。
今度の声は、耳にした小型のスピーカーから聞こえた。
「2秒後声を掛けられて、振り返る。そこがチャンス」
思わず、思った。
―――――気持ち悪ぃ。
何だよコレ。
何だよ、コレ。
どんと肩に衝撃があって、鞄が落ちて。
ちゃんとすり替えて、それでも声は続く。
「10秒後搬入のトラックが通るから、それに隠れてターゲットの視界から消えて。後は合流場所へ」
思わずカウント。
10、9、8、7、6、5、4、3、2、1・・・・0。
大きなトラックが、直ぐ傍を、通った。
次に身体を襲ったのは、得体の知れない恐怖だった。
アレは、なんだ。
ありえねぇ。こんなの、有り得ない。
合流予定地で待っていた小さな姿が、俺を見上げる。
俺の顔に何を見たのか、首を傾げた。
「どうしたの?」
ああ、うん。
わかった。
コレは、モノだ。
道具だ。
使える、便利なモノ。
こんな気持ち悪いバケモノ、人間なわけがない。
「別に、どうも?」
俺は今日、ひとつ利口になった。
//12歳
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