正論を振りかざす |
2007年9月10日 01時43分
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「親は子供を育てる義務がある!」
ぼくの目の前で、会話は行われた。
それはぼくとはまったく関係ない、ただ別の人と別の人の会話。
子供を捨てようとしている人と、それを止めようとしている人の。
「俺が生んだわけじゃない!」
「生まれてきた子に罪はないだろう!」
「本当に俺の子かどうかも怪しいんだぞ!?」
「子供は親に、愛される権利があるんだ!」
言い合いは続く。
子供を捨てるなんて、最低の人間のすることだ。
―――――では、子供を売るのは?
考え直せ、この子は何も悪くない。
―――――では、悪い異能の子は、いいの。
一方は完全な言い逃れで、一方は世間一般的にとても正しい。
けれどぼくは、その正しい人の言葉にいちいち傷ついた。
「可哀想だと思わないのか、その子が!」
あなたはぼくを、可哀想だと思うの。
なら、あなたは。
ならあなたは、ぼくに何かをしてくれるの?
台詞の一つ一つを聞く度に、心が冷える。
ああ、ぼくは。
何故だかとても、哀しかった。
//12歳
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