安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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終わってないの!?
「ぁっ・・・!」

瞳の色彩(いろ)が変わっていた。

「・・・っ、あ、ゃ・・・・・・、・・・!」

息が切れる。
いつもは自由になる予知の使用/非使用が、自分の意志と決別していた。

「も、ぉ・・・ぃやぁ・・・っ!!」

悲鳴を上げても、瞳は未来を映す。
目を閉じても、暗やみのなかに画は視えて。

映す。
写す。
移す。
遷す。

―――――止まらない。

「ま、だ・・・・・・」

未来が潰える日が来ない。
さきがなくなる時がない。
壊れない。
終わらない。

能力の長時間行使で急激に体から体力が抜けていく。
未来の情報の多さに脳が悲鳴を上げる。

目が輝き。
瞳がくるりと回る。
相眸が、軋んだ。

膝から崩折れて。
けれど目は見開いたまま。

涙が一筋、頬を流れた。

「ま、だ・・・おわって、ない・・・の!?」

足りないと言うのか。
あれだけ泣いても。
あれだけ嘆いても。
あれだけ壊れても。


あれだけ、視続けても。


喉だけが、意志に従って怨嗟の言葉を絞りだす。

苦痛と。
悲哀と。
後悔と。
未練と。
それから絶望が、声を闇色に塗り潰す。

もう。
視たく、ない――――!

「だれか・・・・・・」

必死に。
懇願する相手を、呼ぶ。
見えない相手に、手を伸ばす。

「だれか・・・ぼくごと、で、いいから」

どうか、この悪夢を終わらせて。










//21歳?(多分
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