安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

  新着アーカイブ  
ゾロ目[2
 (2010/11/11 12:51)
マスコット
 (2008/5/1 19:04)
多けりゃ良いってものじゃない
 (2008/4/30 18:51)
一生懸命
 (2008/4/25 18:53)
世界を見下ろす丘
 (2008/4/23 18:54)

  新着コメント  
新着コメントはありません

  ブログ内検索  

  カテゴリー  
最初に/設定(1)
21歳以降(70)
16〜20歳(35)
10〜15歳(29)
0〜9歳(6)
その他(18)


  月別アーカイブ  
2010年11月(1)
2008年05月(1)
2008年04月(12)
2008年02月(16)
2008年01月(5)
2007年12月(25)
2007年11月(25)
2007年10月(31)
2007年09月(30)
2007年08月(13)

鏡の中の偽り
ぼくには霊視の能力はない。
そもそも、霊感と言うものが皆無に近い。

だから無理だと言ったのに、ぼくが連れて行かれたそこには、一枚の姿見が置かれていた。

「・・・・・・これが?」

それは、未来を映すと言う噂の、鏡だった。

よくある話、だと思う。夜中の何時に見れば、死ぬ時の顔が映るとか、結婚相手が映るとか。
けれどこの鏡は噂に留まらず、未来かはわからないが、覗いた人の姿以外のものが、映ったらしい。
人々は鏡に幽霊が宿っていると口々に証言した。

本当に未来が映るのか。
その検証に、既に効果が実証されているぼくが呼ばれた。

未来だとしたら、何の、いつの未来か。
同じ力を持つぼくなら、何かを感じ取れるかもしれない――――・・・そんな風に、言われた。

けれど噂の「それ」を目にしても、ぼくは何も感じない。
目立った反応をしないぼくの代わりのように、ぼくを連れてきたボスが、口の端を持ち上げて薄く笑った。

行けと促されて、鏡の前に、立つ。
鏡の中には、左右逆のぼくがいた。
人の未来を視る要領で鏡の未来を覗こうと、束の間目を閉じて意識を切り替える。
相手が動かない鏡だから視えた光景が未来か今かわかり辛くて、鏡に、手を伸ばす。

とん、と。
背中を、押された。

「え・・・・・・・・・」

体勢が崩れて手が鏡に触れる、寸前に。





鏡の中で、立ったままの、ぼくが。

ニィと、笑った。





何か電気が走ったような感覚と派手な音がして、ぼくは膝から崩れ落ちた。

そして。

ボスが、面白そうに、嗤う。





―――――ぼくが覚えているのは、そこまで。









//21歳?
コメント(0) / トラックバック(0)21歳以降


コメントを書く
名前:
メール:
URL:
コメント:


コメント
トラックバック
トラックバックURL