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ゾロ目
彼はよくぼくをカジノに連れていった。
それは合法的な場所から、違法な場所まで幾つもの。

「―――――赤の5」

ぼくは賭けたりはしない。
ただ、彼が座った場所の、未来を見て告げるだけ。

ルーレット、ブラックジャック、ポーカー。
一番視易いのはルーレットだったけど、一番未来が変わりやすいのもルーレットだった。
それは解りやすく言えばイカサマで、ぼかして言えばディーラーの腕。
いつも当然のように、彼はスロットなど目もくれず、テーブルに向かう。
当たりすぎてイカサマと呼ばれても、彼はびくともしない。
そして当然、イカサマの証拠はどこにもない。
彼はそれもまた、自分の利益として役立てる。

日本にもカジノはあった。
それは全て裏の、非合法なカジノ。
日本では賭博が認められていないから、お金を賭けていればどこでやっても非合法だ。
欧米と同じように、ルーレット、ブラックジャック、ポーカー。
そして。

「丁、半。どちらかに御賭け下さい」

サイコロ。
これも古き良き、というのだろうか。
江戸から続く、裏の賭け事。

黙っていれば、彼はぼくを見て。

ぼくは口を開く。

「・・・・・、・・・・6と6の、ゾロ目」

今日はどれだけ、勝つのだろうと。
そんなことを、思考の端で思った。









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