安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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切断面
自分の身体から離れた自分の腕の、切断面を、見て。

不覚にも。


―――――綺麗だと、思った。



一瞬後、それは恐怖に変わり。
さらに一瞬後、焼けるような痛みと苦痛に変わる。

「っあ゛・・・!ぁ、ああっ!!」

言葉にならない悲鳴が口から漏れる。
痛い、熱い、痛い。
左手の先についさっきまであったはずの重さが、ない。
血が溢れて、ぼたぼたと冗談のように地面に血溜まりを作った。
赤い。
くらりと脳が揺れる。
怖い、恐い、コワイ。

「・・・っ、うっ、あ、ぁあ、あああっ・・・・!!」

身体の至るところから嫌な汗が出て、生理的に涙が滲み、意味のない音声だけが響き渡る。

ぼくの左腕を持った男は、それはそれは嬉しそうに笑って、べろりとぼくの腕の切断面を「舐めた」。
軽く肉を齧り、引き千切る。
めち、ぐちゃ、と、背筋に悪寒が走るような音がした。

男は口周りにぼくの血を付けながら、ちょっと首を傾げた。

「んー・・・ウマイ、気がする?」

切断された箇所の直ぐ上を手で押さえて止血を試みるけど、ぼくの握力では血を止めるのに全然足りない。
何か細い布か紐か、とにかく何かが必要だった。
ぼた、ぼた、と、血は止め処なく流れ落ちる。

男は傾げていた首を元に戻して、ぼくの左手をぺいと投げた。

また、嬉しそうに、楽しそうに、笑う。

「やっと殺せる。やっとコロせる、やっと!ああ、この気持ち、いい気分!」

逃げなくては。
逃げられるのか。
逃げないと!
逃げるって?









何処へ?









白刃が煌く。
次は左手を押さえていた右手から、血が噴出した。

また切断面が目の前に見えて、その鮮烈なピンク色に、一瞬。

目を奪われて。



間。




「―――――あはははははっ!!!ハハハッ!イイ気分だ!!」



次の切断面は、ぼくの?



「一緒に楽しもうぜ、なぁ、フドウカリン!」



有り難くないことに見知ってしまっていた死神は、にたりと、今度はナイフを舐めて、笑った。









//27歳?(26歳以上)
しまった公開するの忘れてた。
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