安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

  新着アーカイブ  
ゾロ目[2
 (2010/11/11 12:51)
マスコット
 (2008/5/1 19:04)
多けりゃ良いってものじゃない
 (2008/4/30 18:51)
一生懸命
 (2008/4/25 18:53)
世界を見下ろす丘
 (2008/4/23 18:54)

  新着コメント  
新着コメントはありません

  ブログ内検索  

  カテゴリー  
最初に/設定(1)
21歳以降(70)
16〜20歳(35)
10〜15歳(29)
0〜9歳(6)
その他(18)


  月別アーカイブ  
2010年11月(1)
2008年05月(1)
2008年04月(12)
2008年02月(16)
2008年01月(5)
2007年12月(25)
2007年11月(25)
2007年10月(31)
2007年09月(30)
2007年08月(13)

友達甲斐のない
「ひーちゃん?」

目の前に居るものは、私をいつもそう呼ぶ。
とは言っても実際に「目の前に居る」と見えるわけではなく、ただ「居る」とわかるだけだが。
この男が、私にはよく解らない。

「・・・・いつも思うが、何故私を「ひーちゃん」と呼ぶ?」
「え、だって聖でしょ?「名前」」
「人間だった時の、な」
「だって今の名前長いんだもん。短くていいじゃん、「ひーちゃん」」
「お前は変な神だな」
「ほら俺若いから」
「そうか」

目隠しに覆われて見えない目。
私は少し、異端だ。
あまり好んで関わろうとするものはいない。
大方「何を考えているのかわからない」とでも思われているのだろう。
その私に好んで近寄ってくるこの男。
私よりよほど、「何を考えているのかわからない」。
私はただ、あの子が気に入ったから、気紛れに少し贈り物をしただけだ。

目隠しの中で目を閉じれば、あの子が見える。
私の目を持った、人間の子供。
心を傷つけながら、今日も言われるまま未来を告げる。
瞳をあげたのは別に繰り人形にしたかったからではないのだが、人間とは予想外の生を歩む。
可哀想に、と、思う。
しかし思うだけだ。
どうせ我らは見ているだけ。世界をあるがまま管理するだけ。
崩壊させるのも、守っていくのも、人間がすることだ。

「・・・・ひーちゃんってさ・・・友達甲斐ないよね」

ふいにそんなことを言われ、目隠しの中の目を開ける。
閉じても開けても、色彩は変わらず黒い。

「まだ居たのか」
「うわ酷いよそれ」

可笑しな単語を聞いた気がして、首を傾げた。

「・・・・・・・友達?」

なんだ、それは。

問いは言葉に出さなかったが、ちゃんと伝わったらしい。
また「酷いって」という声が返ってきて、軽く眉を寄せる。
目隠しの裏での仕草だから、相手には見えないが。

「いいじゃん、俺とひーちゃん、友達」
「馬鹿なことを」
「えー?駄目?」

駄目とか、いいとか、そいうい次元の問題ではない。

「神という存在に成り果てた私には、友も親も存在しない」

そもそも「情」というものがほとんど欠落している。
それはそちらだって同じだろう?

そう、問えば。

「まぁねぇ。でもほら、人間ってよく友達がどうとか言うじゃん。ひーちゃん人間好きだし、真似してみようかなぁって」

なんて、茶化した答えが返ってきた。

やはり私は、「これ」がよくわからない。









//カミサマ
コメント(0) / トラックバック(0)その他


コメントを書く
名前:
メール:
URL:
コメント:


コメント
トラックバック
トラックバックURL