安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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自己制約
ぼくは出来るだけ、自分の未来は視ないようにしている。
少なくとも、自分の意思では視ないように。
未来はわかっていてはいけないものだと思うから。
本来なら知らないものだと、思うから。

それはただの自己制約で。
破っても誰も怒らないし、必要を感じれば破ってしまうこともある。

ただそれでも、必要であっても、本当はやはり視たくはない。
知りたくない。
自分のこの先。
未来の道。
ぼくが、どう、なるか。

この制約は、ただ。
知ることが恐いから、逃げるための、言い訳。

恐いのだ。
恐い。
明日は、明後日は、明々後日は。
一年後は、二年後は、五年後は?

ぼくは、自由に、なれるのだろうか。
もしかしたら、一生。
ずっと、このまま、この建物の中で――――・・・。


それはとても有り得ること。
この裏の世界では、命の価値はとても軽い。
生と死は、紙一枚を隔てたくらいにしか、違わない。

絶望を知るのは、嫌だ。
それはとても、怖い、こと。

もし自由になれても、きっと違う恐怖が生まれる。
常に消えることのない、不安。
視たくない。

だからきっと、自己制約はずっと続く。









//14歳
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