安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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淋しさを覚え
言われなれてる言葉。
もう傷つくこともなくなったくらい、慣れてる言葉。

それでも、何故か淋しさを覚えて、神社に足を向けた。

神社には人影がなかった。
それでも何故か気分が和らいで、ほっとする。
淋しさが消えはしなかったけど、代わりに何かが満たされた。

「気持ち悪ぃ」
「へー。本当、バケモノって感じでいいね」

少しの間、共闘するという、別の組織の「ボス」。
世襲制というわけではないのに、まだ幼さの残る青年。
けれど。
あの男、ぼくの「持ち主」と、同じ目の、男。
さぞかし気が合うことだろうと、思う。

「気持ち悪い」も、「バケモノ」も。
どちらも数えるのが馬鹿らしいくらい、聞いた。
何度も何人にも、言われた。
慣れている。
それでも哀しくないわけではないらしいと、自嘲した。
脆いことだ。

「淋しい」なんて。
「弱い」を認めることと、同じ。

ぼくは弱い。

「君なら・・・」

「彼」は。
ぼくの異能や汚さを知ったなら、何て言うのだろう。









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