安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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あたかも爆発したかのように
視界の中で、閃光が弾けた。
いきなり白で視界が埋め尽くされて、びくりと身体が揺れる。

「まだだ」

肩を掴まれて耳元でそう囁かれ、ぼくはぎゅっと目を瞑る。
目を閉じても意思を持って切らない限り、視界は映像を映す。
今ではない未来の、映像を。

「まだ視続けろ、花梨」

それはあたかも爆発したかのように、見えた。
否、違う。
「あたかも」でも、「ように」でも、なくて。

恐い。
恐い、恐い、こわい。
――――これ以上、視たく、ない。


閃光が収まったその場所には、黒く煤焦げた地面と、飛び散った赤い水の跡、それから。
鮮やかな、鮮やか過ぎるピンク色の肉と真っ白な骨をむき出しにして倒れる、下半身。
上半身はまるで破裂した水風船のゴムのように、バラバラになって周囲に――――・・・


「・・・・・・っ・・・・ひ、ぃ、やぁあっ!」


そこでぼくは目を開けた。
集中力が切れた所為で映像がぼやける。
恐怖と嫌悪で流れた涙も、更に映像を揺らした。

首を振る。

「や、いや・・・・ぃやっ・・・!」
「・・・・花梨」

ぼくの通訳兼お目付け役を命じられた男、ぼくと契約した男、野心家の日本人は、ぼくの目を覗き込む。
底の見えない黒い目から逃れたくて顔を背けようとしたら、顎を取られて固定された。
それでも、小さく首を振る。

「ぃゃ・・・・・」
「これはビジネスだ、花梨」

びくん、と。
身体が揺れた。

これは。
ぼくの、生きる道。
たった一つの、ぼくの、生き方。

「こいつが三日後にちゃんと死ぬかどうか。知りたいのはそれだ。さっさとお前の仕事をしろ、花梨」

震える身体を押し殺して、目を、閉じる。
どうしてと、何度も何度も何度も、心の中で叫んだ。
どうして。
どうして、どうして、どうして、こんなっ・・・!

掠れた声で、未来を、告げる。



――――ああ。

知っているのに何もできないと言うのは、何て。
何て、最低の、ことだろう。




ぼくは、罪のかたまり。









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