安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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照れたように笑う顔
ぼくがちょっと君を褒めると、君は笑った。
照れたようにはにかんで笑う君が、ぼくは好きだった。

唯一の「友達」だった。
心を許せる、たった一人の。
「使用者」と一緒でなければ一歩も建物の外に出られないぼくの、話し相手に連れてこられた君。
ぼくさえ居なければこんな場所には来なくて済んだ、被害者だった。

此処に買われたぼくが、あまりに気の置けない環境に塞ぎこんで。
「仕事」に支障が出始めたための、打開策。

ぼくは彼女が好きだった。
そして彼女は。


ぼくの目の前で、撃たれて死んだ。


笑顔が好きだった。
ぼくが褒めると照れたように笑う顔が、好きだった。

けれどもう、その笑顔は永遠に見れることはない。

動かない過去に、時折振り返るのみでしか、あの笑顔には会えない。
やがて埋もれて小さくなっていく、けれど絶対に忘れられない大切な記憶。









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