安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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Dear
気分転換と暇つぶしで買い物に出かけて、文具屋さんで綺麗な便箋と封筒を見つけた。
手触りのいい紙の、邪魔ではない程度に精緻な柄が入った揃いのレターセット。
少し探すと蝋で封をする道具も近くにあって、つい、一式買ってしまった。
此処まで揃えたのだから、と、書くものもボールペンでは味気ないので万年筆を用意して。

便箋の最初の行に「Dear」と書き込んで、そのまま手が止まった。

親愛なる――――・・・。

その先に続く名詞が、幾ら考えても思い浮かばなかった。

苦笑する。

綺麗な便箋と、封筒。
封をするための蝋に、蝋判。
手紙を書く、万年筆。

手紙を出すための準備は綺麗に整ったのに、出すことが出来ない。
出す相手が、ぼくにはいない。

何で気付かなかったのだろう。
買うときに、気付いても良さそうだ。
自由に一人で買い物ができるだけで嬉しくて、はしゃいで居ただろうか。
少しは慣れたと、思っていたのに。

「・・・勿体無いなぁ・・・」

小さく息を吐いて、万年筆を仕舞おうとして。
そこで、気分を変えてもう一度便箋に向き直った。

「Dear」の次に、字を書き足す。





――――親愛なる、誰かへ。





手紙はそう、書き始めた。
結局出すことはできなかったけど。
その手紙は今でも、机の引き出しに大事に仕舞ってある。









//20歳
0時過ぎた。(多いなおい)
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