安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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季節の節目
「あ・・・」

黄色い実がついた樹を見つけて、つい立ち止まる。
立ち止まれば歩いてたときは気付かなかった甘い香りが薫って、もうそんな時期かと時を想った。

秋を告げる日。
ぼくは花梨の実がなる頃、秋分の日に生を受けた。
つまり、今日は。
ぼくの、誕生日。

・・・・最後に祝ってもらったのは、何時のことだっただろうか。

自分の名前がその実と同じだけあって、ぼくは花梨の実が結構好きだ。
すべすべした、黄色い実。
そのままでは食べられないけど、甘い香りは持っていて。
栄養価は高い、果実。
昔は、必ず。
誕生日の頃には、母が花梨の砂糖漬けを作っていた。
懐かしい記憶。
遠い、記憶。

もう決して戻れない、過去。

最後になった10歳の誕生日にも、変わらずそれは出されて。
その時には売られる未来を視ていたぼくは幼心に「まだだ」とほっとしたけれど、結局売られたのは誕生日を2週間程過ぎた頃だった。
本当に、前日まで。
否。ぼくを売る瞬間ですら、いつも通りだった両親。
つい物思いに沈んでしまって、苦笑する。
ぼくは両親を恨んでいるのだろうか。
よく、わからない。

ああ、でも、そういえば。
あの日の三日後に小学校で遠足があって、ぼくはそれが楽しみで。
売られた後でそれに気付いて、行きたかったなとぼんやり思ったことを覚えてる。
行き先は、確か。

「・・・・・プラネタリウム、だった」

ああ。
行きたいな。

不意に、思う。
星はよく見上げるけれど、それとはまた、別に。
作られた夜空だけど、数え切れないほどの星を見上げるのは、きっと楽しい。

「遠足」は、もう、無理だけど。

今は、誰も、誘える人も、いないけれど。

いつか、誰かと、一緒に。

「・・・・行きたいな」

そしてぼくはその場を後にして、スーパーを渡り歩いて。
何軒目かで花梨を一つ、購入した。











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