安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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叶うなら
叶うなら。

彼女に幸せなって欲しいと、思う。

叶うなら。

彼女には俺とは違う、道を歩いて欲しいと思う。



この身はもう、随分前に朽ち果てた。
俺の身体は死を迎え、魂だけが未だに此処にある。
妹が自分の墓の前に現れる日が来るとは、予想もしていなかった。
そもそも妹が居たことを知らなかった。当然と言えば当然で、妹が生まれた時もう既に俺は死んでいた。
親子ほどに年の離れた、互いのことなどろくに知らない兄妹。
それでも彼女は、俺に会いたかったと、泣いてくれた。
俺と同じ髪の色の、少女。

血を分けた、家族。

自然の摂理に逆らったこの身でも、願いを抱くことが許されるなら。
神に祈る資格が、少しでもあるのならば。

どうか、と、願う。

どうか、彼女を、不動花梨を。
これ以上傷つけることなく、幸せにしてやってください。










//桐原藍螺
兄、不動匠・・・・こと、桐原藍螺。
・・・・日付け過ぎた。うーん。
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