安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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夜空に輝く・・・
満点の星空を見上げてじっとしている時、ぼくはいつも未来を思う。
能力を使うとぼくの目に映る光景。
未来(さき)の景色。
未来の数は選択の数。
星の数ほどに未来がある。
この降るような星空の光と同じだけ、人には未来が待っている。
ぼくは人よりほんの少しだけ、その星を間近で見れるだけ。
そう。見れる、だけ。

手を伸ばしても、決して届かない。
届いては、いけない。

未来を望むように変える力は、ぼくにはない。
その権利も、ない。

ぼくの言葉は悪戯に選択を惑わせるだけ。
ぼくの行動は、人に選択を限らせるだけ。
だから本当は、ぼくは何も言ってはいけない。

なのに。
そう、解っていながら。

ぼくは星を落とすような、罪を犯す。

ぼくが「告げる」という選択は、星に手を伸ばす行為。
光り輝く未来を、歪めて落とす、行為。
自由に、望むように未来を変えることは出来ないのに。
最悪の方向に、変えてしまう。

満点の星を見上げると。
いつも、ぼくは自分の罪を思い出す。
だから、ぼくは何時でも空を見上げる。
忘れてはいけないから。
忘れることは、許されないから。

夜空に輝く美しい星は、ぼくにとっては幾千の未来。

ぼくはこれまで、幾つの星を落としてしまったのだろうか。
そして、これから。
幾つの星に、手を伸ばしてしまうのだろう。

ぼくがこんなことを願うのは、間違っているのはわかっている。
願うなら、自分でどうにかするべきなのだ。
願うくらいなら、自分の命など惜しまずに、告げない道を選ぶべき、なのだ。

そうと、わかっていても。
ぼくには、それが、できない。

だから、ぼくは願う。
願う資格がないことを知っていても、願う。

お願いだから、どうか――――・・・。



もうこれ以上、ぼくに星を落とさせないで。




ぼくは今日も夜空を見上げる。

「・・・、・・・弱くて、御免なさい」

呟いても、当然返事はない。
それでも、ぼくは。

謝らずには、いられない。










//21歳
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