安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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面倒なんて言わないで
「本当にやるのか?」
「班長命令だし・・・」
「・・・・面倒だな」
「・・・面倒なんて言わないで、さっさとやっちゃおうよ。キョーヤ」

そんな会話が耳に入る。
此処はイタリアなのに、その会話は英語だった。

片方は背の高い日本人。もう片方は、金髪碧眼のアメリカ人。
両方とも男の人で、それぞれスーツを着ていた。
背の高い人はかなり着崩していて、実際それが似合ってる。逆に連れの金髪さんはきっちり着ていて、なんだか妙に可愛らしかった。
少し、首を傾げる。
観光客が英語で話すのは珍しくない。他にもビジネスマンとか、その辺りだったら疑問には思わない。
でも、その二人は、観光客にもビジネスマンにも見えなかった。
一体何をしている人たちなのだろう。
とりとめのない思考。特に、深い意味はない。
目立つ人たちだなぁと、そんな感想を抱いた。

その時は、それだけで。
さほど強く記憶に残っていたわけでもなく、ぼくはほとんどそんなことは忘れていた。
記憶の底に埋もれていた、小さな出来事。
しかしそれが、蘇った。

同じような会話が、耳に入った、から。

「俺はもうアイツの部下じゃないんだけどな」
「セルゲイ次官は使えるものは逃がさない。諦めろ」
「・・・・・面倒だな」
「面倒でもいい。・・・行くぞ、キョーヤ」

振り返ればそこにはいつかの背の高い日本人と、そしていつかとは違う、黒髪の人。
会話は日本語だったけど、それはいつかと似た会話だった。
そしてやはり、彼らは―――というより多分背の高い男の人が、とても目立っていた。

どうして日本に、とか。
むしろ、どうしてイタリアに、と。
そんなことを、漠然と思い。
次に耳元で言われた言葉に、目を見開いた。

「見えたか?あの目立つ二人の明日の行動が知りたい」

ぼくの今日の仕事は、日本にボスたちを追いかけてきたFBIの行動を視ることだったはずだ。
ということは、あの人たちが、FBI。

ただの通りすがりだった小さな記憶が、暗鬱な影を落とす。
知っているというほど、知らない他人。
でも。
ほんの少し、知っていた、人。

「――――――――、―――・・・・」

ぼくの告げた言葉は、あの人たちを、不幸にするだろう。

知らなければ言いというわけでは、ないけれど。
ほんの少しだけでも、知らなければよかったと、思った。









//21歳
繋がっちゃった。
花梨が21の頃だと、多分もう鏡哉はFBIじゃないが。
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