安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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願掛け
マフィアの男と契約した日から、ぼくは髪を伸ばした。
願掛けだった。
それで何がどうなるわけでもない、小さな願掛け。

10年間伸ばし続けた髪は、それなりの長さになって。
見たことのない「兄さん」ととても似ているらしい髪の色は、黒というより若干紺色に思える。
人の目を惹くほどに、目立った。
実際伸ばしていても邪魔なだけだったりはしたが、それでも、ぼくは髪を切ろうとはしなかった。

「・・・・・本当にいいんですか?お客様」

後ろからの声に、ふと、物思いから浮上する。
大したことを考えていたわけではないから、すぐに微笑んだ。
鏡越しに、声の主と目を合わせる。


「はい。お願いします」


しゃきん、と。
軽い涼しげな音がして、長年付き合った重みが、あっという間になくなった。

それはまるで繋がれていた鎖が切れた様に似て。

契約は成った。
あの男は、「ボス」になった。
だから約束も果たされる。

ぼくは今日から、自由だった。

願掛けは、もう要らない。


「・・・・・・・・有難う御座います」


仕事からは逃れられないけれど。

それでもこれは、確かに、ぼくの手に入れた自由だった。










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