安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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育ちが知れる
「ほらあの子、・・・、だから・・・ねぇ」

こそこそと交わされるやりとり。
ぼくはいい。
別に、本当のことだから。

でも、この子は。

「こんにちは」

噂話の主役だと知ってか知らずか、ぼくの手をぎゅっと握って、幼い息子がにこりと笑う。
二人の主婦は虚を突かれたような顔になり、それからちらりとぼくを見て罰が悪そうに立ち去った。

この子は、こんなにいい子なのに。
ぼくの所為で。
つい、顔が曇る。

周囲を見ながら楽しそうに歩いていた息子が、ぼくを見上げて足を止めた。

「大丈夫だよ、お母さん」

にこっと、花が咲いたように、笑う。

「普通にちゃんとしてれば、みんなわかってくれるから。全然、大丈夫だよ?」

『親があれだから、どうせ子供も・・・・・』
『育ちが知れるって・・・』
『匠くんとは仲良くしちゃダメよ』

聞こえる言葉。
聞かされる、言葉。

「占い師」なんていう職業と、父親の不在が、噂話に拍車を掛ける。
尾鰭が生え背鰭が生え、生きもののようにびちびちと跳ね回る。

それはまるで、見えない蜘蛛の糸のようにぼくを縛った。



君は強いね。



称賛の気持ちが沸いて、微笑んだ。
丁度手の置きやすい位置にある頭を、優しく撫でる。

「うん。そうだね。ごめん、匠。帰ろうか」

繋いだ手をぶらぶらと揺らしながら、また歩き始める。
ぼくが笑ったことに安心して、息子はまたきょろきょろと周囲に関心を移した。

ふと。
視えてしまった、未来を思う。

ああぼくは。



後どれくらい、君と一緒に居れるんだろう。










//25歳・・・くらい?
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