安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で
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真打ち登場!
2008年4月15日 18時59分
初めて会った時、ぼくは少し嬉しかった。
買われてからずっと、同じくらいの子供には、殆ど会ってなかったから。
だから実は、ほんの少し、期待したのだ。
友達に。
なってくれるかも、知れないと。
・・・期待なんて、無駄だと教えられていたのに。
男の子を連れてきた黒服の幹部が言う。
「ディス。これが噂の“時計”だ」
男の子は、最小限の動作でぼくを一瞥して。
そして、笑う。
それはそれは、楽しそうに。
嗤う。
「ヘェ・・・へーぇ、コレが。コレがねぇ!」
反射的に、理解した。
ああ、この人は。
「ハジメマシテ、時計ちゃん。俺はディス。ファミリーネームはないからオトナシクそう呼んで?ああうん、いいねぇ、いいジャン」
あの人とは違うけど、怖い、人。
何も言えないぼくに顔を近付けて、猫のような眼を細める。
「俺はアンタが要らなくなったら棄てる役。完膚なきまでに殺し尽くしてヤるから、安心してな」
出来るだけ早く逃げたり使えなくなってくれると、とっても嬉しい。
――――――――それが、初対面。
もう10年くらいは、経つのだろうか。
その時から。
わかっていた。覚悟はしていた。
ぼくは彼に殺されるのだろう、と。
「フッフッフー。真打ち登場!って感じか?」
大人になったあの時の「男の子」は、笑う。
とてもとても、楽しそうに。
あの時と同じように猫のような眼を細めて、言った。
「待ちに待ったなぁ、フドウカリン」
さぁお楽しみの、オカタヅケだ。
――――――・・・彼は、ディス。
マフィアの世界でも名高い、腕のいい、殺し屋。
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