安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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初々しい
「あら、初々しいこと」

真新しいランドセルを背負って走る。
近所の顔見知りのおばさんが、そう言って頭を撫でてくれた。
走るぼくを見守りながら、両親が優しい顔で後ろを歩いていた。

「花梨、走ると危ないわよ?」
「転ばないようにな、花梨」

掛かる言葉も優しく、暖かい。

「だいじょうぶ!」

ぼくは根拠もなく、そう返した。

淡い記憶。

「小学校」が嬉しくて楽しくて、希望に満ち溢れていた幼い日。

もうほとんど葉桜の桜がひらひら散って、地面はまるで疎らに絨毯を引いたような有様だった。

春らしい日だった。

パステル色の、柔らかい、日だった。

ぼくはだから、春が好きだったのに。






それから少し後に放り込まれた闇色の世界で、桜は血溜りの上に不安定な波紋を描くことを知った。

花びらは皆、真っ赤に染まることを、知った。


春を嫌いにはならなかったけど。
ただもう、あの頃のように無条件に浮かれることはできない。










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