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転んだことにも気付かない
2008年2月8日 23時29分
必死で走る。
走って走って走って走れば、きっと、追いつけると思った。
きっと。
「待ってっ・・・・・!」
手を伸ばす。
悲鳴のような声と、荒れた息が、零れた。
「お願い、待って・・・・!!」
お願い。
お願いだから。
お願いだから、それだけは。
一瞬視界がぐら付いて、身体が動かなくなる。
すぐに視界を元に戻して、また必死で駆けた。
走り出してから、ああ今のは転んだのだと、気付いた。
本当に、無我夢中で。
転んだことにも気付かない。
涙で視界が滲む。
ぼろぼろと、まるで小さな子供のように泣きながら、ぼくは、必死で。
「―――――――待って!!」
それは。
それは、ぼくの、大切な―――――――!!
そこで目が、覚めた。
起き上がる。
涙の伝う頬を拭って、目頭を押さえた。
苦笑、する。
なんて、夢。
必死で追うほどに大切なものなんて、今のぼくには何もないのに。
//18歳
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