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鬼は逃げた?
2008年2月4日 02時19分
「鬼は、逃げるのかな」
ふと思いついて、そう、聞いた。
豆を撒かれて、外へと追いやられて。
言われるがままに、逃げるのだろうか。
節分で追い払われる「魔」の象徴。
古くから病気や災厄の元とされる、見えないモノ。
けれど。
逃げなくてはいけない何かを、彼らはしたのだろうか。
病気の原因はウイルスで。
災厄は鬼だけの所為じゃない。
全ての罪を被せて、追い払い、安堵して。
「・・・・何処に逃げるんだろう」
迎えてくれる場所はあるのだろうか。
逃げ帰る場所は、あるのだろうか。
そんなことを、思う。
「こんなこと考えるなんて、変かな?」
苦笑したら、「そんなことはない」と、言ってくれた。
ぼくはそれが嬉しくて、ほっとする。
ぼくの予知の所為で犠牲になった人は沢山居る。
ぼくが予知をしたから、死んでしまった人が、沢山居る。
そして全てをぼくの予知の所為にして逃げた人も、沢山、居る。
ぼくは異端の「バケモノ」だから、多くに蔑まれ、疎まれながら、利用された。
「お前があんなことを、言わなければ」――――・・・それはとても、よく言われた言葉。
ぼくは否定しなかった。
否定しても無駄だと知っていたし、それに。
それでその人が楽になれるなら、それでいいと思った。
それと半数以上は、その言葉が事実でもあった。
「鬼は外」と、言われて。
鬼は無事、逃げたのだろうか。
逃げ帰るべき場所に、帰れたのだろうか。
逃げ切れずに囚われていないといい、と、思う。
//21歳
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