安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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今年の抱負、いってみましょう!
小学校の、2年生のとき。
初めて「書初め」の、宿題が出た。

それは一年の抱負を、書に認めること。

ぼくは墨汁で服も手も、顔まで汚しながら、せっせと筆を繰った。
教室で墨を使うことはあまりなかったから、楽しかった。
室内も当然のように汚してしまったので、それだけは失敗した思い出として残っている。

3年生のとき。
二度目の「書初め」は昨年よりも上手く書けて、拙い字ではあったけど、展覧会で賞を取った。
とは言っても金から始まる賞ではなく、佳作、だったけど。
嬉しくて、ぼくは書道が好きになった。

4年生の、とき。
ぼくはぼくが普通とは「違う」ことを理解していて、だから予知はあまり使わないようにしていて。
何か視えても、言わないように、心がけていた時期。
自分を。
殺した時期。
「書初め」は勢いをなくして、少し歪に見えた。

5年生。
最後の、お正月。
ぼくはもう、「売られる」未来を見ていた。
必死で「いい子」になろうとしていた。
ぼくを捨てないで欲しかった。
ぼくはそこに居たかった。
ぼくが必要だと言って欲しかったから、言われたことはなんでも頑張った。
両親に予知を請われれば。
ちゃんと視て、告げた。
――――・・・その後それを録画した数本のビデオが、ぼくを売る際にぼくの能力の「証明」として使われたのだと、知るのだけど。
その時はとにかく、必死で。
自分で自分の首を絞めていたことには、気付いていなかった。
書いたのは。

「継続」

そのまま。
このまま、時が続けば、いいと。
そんな、願い。
抱負でも何でもないと、今は思う。

そしてそれ以来、ぼくは「書初め」とは無縁になった。

「今年の抱負?」

きょとん、と。
聞き返す。
聞かれた言葉の意味は知っていても、理解が追いつかなかった。

「ええ。折角だもの、考えてみたら?」

差し出される筆。
大きな長い半紙には、もう既に幾つか言葉が書かれていた。
まるで寄せ書きのようだ。

「抱負・・・・」

ぼくが。
達成したいと、望むこと。

筆を受け取って、半ば反射的に、手が動いた。

書いたのは最後の書初めと同じく、たった二文字。

「離脱」

そして意図的には正反対の、言葉だった。









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