安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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どんな卑怯な手を使っても
「このっ・・・卑怯者が・・・!!」

それが、俺が撃った男の最後の言葉だった。
つまらない台詞だと思う。
卑怯の何が悪い?
正攻法で行かなければならない意味はどこだ。
察せなかった己を呪え。
色々言い返せる言葉はあったが、あえて何も言わない。
言う意味はない。
どうせもう、冷たくなっている。

死体をそのままにドアへ向かえば、入り口に立っていた男が跪く。
感慨もなく見下ろして、視線だけで発言を促した。
男は淡々と、頭を垂れる。
この男は、それなりに使える道具だった。

「もとより私の『持ち主』は貴方ですが、今日からは『ボス』になられたので、一応改めさせて頂こうかと」

どうでもいい。
そういえば、そうですかと返事を返し、男は立ち上がる。
これでこのファミリーは俺の物だ。
だが、今のままでは使えない道具が多すぎる。

「無駄なことをしている暇があるなら、動け」
「はい。まずは誰を」

此処で「何を」と問わないところが、コレの使える所なんだが。
他はほとんどが、そうはいかない。
無能で無意味な烏合の衆。
考えようによっては、鳥よりもたちが悪い。食えるわけでもない。
塵か埃。
ゴミを捨てていかなくては、鬱陶しくて仕方がない。

「まずはキースとグレイン。その部下数名」
「末端は私の判断で構いませんか?」
「末端はいい。どうせ邪魔にすらならない」
「わかりました」

「上」へ上ると俺は決めた。
俺の考える「上」は、こんなところではない。
まぁ頂点に上ったからと言って、何があるわけでもないが。
こうでもしていなければ、この世はあまりにも暇すぎる。

これから更に、俺は高みを踏む。

そう、それこそ。



どんな卑怯な手を、使っても。









//樹 閃月
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