あなたの一番怖いもの |
2008年2月5日 02時10分
|
ぼくが一番怖いもの。それは。
「――――・・・花梨」
それは、声。
この男(ひと)の、声だ。
びくりと肩が跳ねる。
振り返りたくなくて自分で自分の腕を掴んで、ぎゅっと握った。
それでも震えは納まらない。
「花梨」
振り向きたくない。
――――――振り向けない。
後ろから髪を引かれて、頭皮が悲鳴を上げた。
反射的に、顎が持ち上がる。
声の主がぼくの前に姿を表して、視界に映った。
目を、覗き込まれる。
この、目も。
怖い。
この、人は。
こわい、ひと。
「呼んだら答えろと、教えなかったか?」
恐怖が心を縛る。
歯向かえない。
逆らえない。
「っ・・・・はい・・・」
きっと永久に、慣れることは、ない。
//13歳
|
コメント(0)|トラックバック(0)|10〜15歳|
|
|