安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

  新着アーカイブ  
ゾロ目[2
 (2010/11/11 12:51)
マスコット
 (2008/5/1 19:04)
多けりゃ良いってものじゃない
 (2008/4/30 18:51)
一生懸命
 (2008/4/25 18:53)
世界を見下ろす丘
 (2008/4/23 18:54)

  新着コメント  
新着コメントはありません

  ブログ内検索  

  カテゴリー  
最初に/設定(1)
21歳以降(70)
16〜20歳(35)
10〜15歳(29)
0〜9歳(6)
その他(18)


  月別アーカイブ  
2010年11月(1)
2008年05月(1)
2008年04月(12)
2008年02月(16)
2008年01月(5)
2007年12月(25)
2007年11月(25)
2007年10月(31)
2007年09月(30)
2007年08月(13)

薄氷の上を歩くように
ぼくの命はぼくの物ではない。
生かすも、殺すも。
全ては「彼」の、声一つ。

「花梨」

この人に名前を呼ばれるのが、嫌だ。
ぼくを呼ぶのは使うため。
出される命令は、どれも恐ろしい。
けれどぼくにはその声に振り向かないという選択肢は、ない。

「・・・・・はい」

顔を見上げる。
嘲笑を刻んだ唇を目にした辺りで、視線を逸らした。
目は。
見たくない。
冷えた暗い瞳は、絶望を呼起こすから。
でも、逃れられるはずがない。
顎を取られて、無理やり目を覗きこまれた。
怖い。
この人の目は、ぼくの世界を黒く塗り潰す。

試される。
ぼくの心を。
ぼくの力を。
ぼくという、存在を。
まだぼくを、生かしておく意味があるか、どうか。

「三日前、見せた男を覚えているか」
「・・・・覚えてる」
「そいつが今日、夕飯で何番目の席に座るか視ろ」

それは薄氷の上を歩くような、行為。

「・・・・・・、・・・・さん、番目」

顎から手が離される。
同時にもう用はないと、視線も外された。

もし。
この予知が、外れたら。

ぼくの足元の氷は砕け散る。

延々と。
ぼくは果てのない、薄い氷の道を往く。









//14歳
コメント(0)トラックバック(0)10〜15歳