土の下 |
2007年11月28日 08時43分
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夢を見た。
ぼくは丸い月の下、冷たい土に座って必死に土を掘っていた。
爪は剥がれ、土に汚れた指からは血が滲んでいた。
それでもぼくは泣きながら、ずっと、幾つも幾つも穴を掘った。
目が覚めたら、頬に幾つも涙の後が残っていた。
あれはどこだろう。
目覚めの、朦朧とした意識で考える。
冷たい光景だった。
木も何も生えていない、荒涼とした、風景。
生々しい土の感覚が、手に残っているような気さえ、する。
ぼくは何かを言っていたような気もする。
けれどただただ泣いていただけのような気もする。
土の下。
埋まっている、可能性が、あるもの。
何もない風景にたった一つ立っていた大きな十字架が、脳裏に鮮やかに焼きついていた。
埋めようとしていたのか。
掘り出そうとしていたのか。
あれはただの夢だろうか。
それとも未来の光景だろうか。
それとも、ぼくの中にある、風景なのだろうか。
穴を掘る。
穴を、掘る。
幾つも幾つも、穴を。
何かに憑かれたように、ただただ、土を掘る。
それはきっと。
「・・・・起きろ。仕事だ」
ベッドの上でぼくが涙を流していても、彼は何も言わない。
言うわけがない。
生きていれば、否、予知ができれば、それ以外に興味はない。
ぼくは黙って起き上がって、ただこくりと頷いた。
頭の中に、あの風景は消えない。
掘った土の、冷たい感触も。
きっとあの、土の下には。
「行くぞ」
「・・・・はい」
ぼくが今まで犠牲にしてきた人たちの、屍が埋められているのだろう。
//15歳
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