それは秘密 |
2007年11月3日 00時51分
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告げることは助けを求めること。
教えることは、巻き込むこと。
だから、それは秘密。
薄暗い路地から大通りに出れば、人の波に行き当たる。
細い、奥まった「裏」の世界で何が起こっているかなんて考えもせずに、普通に過ごす「表」の人たち。
「仕事」が終ったことが実感できてほっと息を吐く。
そんなタイミングで声を掛けられて、どきりと心臓が跳ねた。
「・・・・不動さん?」
つい、さっき出てきた路地を伺う。
大丈夫、もう、誰もいない。
危害が加わる可能性はないはずだ。
跳ねる鼓動に言い聞かせる。
大丈夫。
大丈夫の、はずだ。
それは秘密。
これは秘密。
知られてはいけない、悟られてはいけない。
ぼくが何をしているか、なんて。
―――――・・・言えない。
ぼくは弱い。
ぼくは、醜い。
ぼくは、汚い。
巻き込みたくない、危険から遠ざけたい―――・・・・
誰かのためと、言いながら。
実際は、ただ、自分のためだ。
笑顔を浮かべようとして、少し失敗した。
//21歳
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