君に託したもの |
2007年9月28日 00時26分
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「まずはこの島国を手に入れる」
楽しそうな、笑み。
これはいけないと、すぐにわかる。
これは、いけない。
――――ロクでもないことを考えているときの、笑み。
この男は、本気だ。
「丁度いい時期に総理大臣も変わってくれた。やつが次に何処に行くかは花梨を使って調べろ。常に先回りして、まずは恐怖を植えつける」
本気で、裏からこの国を、思い通りに操ろうとしている。
そしてぼくは、その工程に使われる。
道具と、して。
「いいな、花梨」
束の間、ほんの瞬きする間に、色々なことを想う。
ぼくが今まで犠牲にしてしまったもの。
生きるために、自由を得るために、そう言い聞かせて犯してきた罪。
それを考えれば、答えは決まっている。
同じように、視たものを、言えばいい。
唯々諾々と、従えば、いい。
――――けれど、ぼくは決めた。
この国はぼくが生まれた国。
そして、大切な、とても好きな、「友達」が、居る国。
ぼくは、漸く、決めた。
「・・・・・はい」
口の端に笑みを掃く。
それは誰も気付かないほど、小さな笑み。
本当はぼくの子供に託したかったことを、君に託していいですか。
君は優しいから、聞いたらいいと言ってくれるかも知れないけど。
言うことは多分できない。
これからぼくがやろうとしていることは、道具の信用を壊すこと。
信用できない、使えない道具など。
要りはしないのだから。
欠陥がわかるまでは、使われるだろう。
けれど欠陥がバレれば、ぼくは、破棄される。
もう子供は生めそうにないから、勝手に君に託そう。
どうか、幸せに。
あなたの望む通りに生きて、わたしの分まで幸せに、なって下さい。
//22歳?
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