安 蘭 樹 の 咲 く 庭 で

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君に託したもの
「まずはこの島国を手に入れる」

楽しそうな、笑み。
これはいけないと、すぐにわかる。
これは、いけない。
――――ロクでもないことを考えているときの、笑み。

この男は、本気だ。

「丁度いい時期に総理大臣も変わってくれた。やつが次に何処に行くかは花梨を使って調べろ。常に先回りして、まずは恐怖を植えつける」

本気で、裏からこの国を、思い通りに操ろうとしている。
そしてぼくは、その工程に使われる。
道具と、して。

「いいな、花梨」

束の間、ほんの瞬きする間に、色々なことを想う。
ぼくが今まで犠牲にしてしまったもの。
生きるために、自由を得るために、そう言い聞かせて犯してきた罪。
それを考えれば、答えは決まっている。
同じように、視たものを、言えばいい。
唯々諾々と、従えば、いい。

――――けれど、ぼくは決めた。

この国はぼくが生まれた国。
そして、大切な、とても好きな、「友達」が、居る国。

ぼくは、漸く、決めた。

「・・・・・はい」

口の端に笑みを掃く。
それは誰も気付かないほど、小さな笑み。

本当はぼくの子供に託したかったことを、君に託していいですか。
君は優しいから、聞いたらいいと言ってくれるかも知れないけど。
言うことは多分できない。

これからぼくがやろうとしていることは、道具の信用を壊すこと。
信用できない、使えない道具など。
要りはしないのだから。

欠陥がわかるまでは、使われるだろう。
けれど欠陥がバレれば、ぼくは、破棄される。

もう子供は生めそうにないから、勝手に君に託そう。







どうか、幸せに。

あなたの望む通りに生きて、わたしの分まで幸せに、なって下さい。










//22歳?

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